NSW2-326-8AT Whisper
Aura Sound の2インチ・スピーカー・ユニットで、小さな箱に納めても鳴ってくれる。低音が出ず、効率もよくないが、柔らかい歌声の美音系ユニットで、気に入っている。現在、国内での入手性がよくないが、もし、自作する機会があれば、高い満足度が得られると思う。
高音は良いと思うし、女性ボーカルも良いので、、ピアノの音があまりきれいには響いてくれないのは、ユニットの問題なのか、エンクロージャの問題なのか切り分けできていない。
スペックは以下の通り。
table:spec
インピーダンス (Ω) 出力レベル (dB) F0 (Hz) Qts Vas (L) Sd (cm^2) mms (g) Xmax (mm)
8 84 250.00 0.680 0.1 13.2 1.040 6
振動板の素材はチタン、開口径49mm、端子は187(+)、110(-)。
Whisperを購入したのは、昨年末のことだ。ペアで50ドルと安価な部類のユニットなので、Parts Expressにて、別の買い物のついでに購入。届いてみると、発泡スチロールのケースに納められていたのだが、発泡スチロールが劣化してクズがたくさんこびりついていたので、それを丁寧に拭きとる必要があった(梱包形態は気にしないが、製造から年数たってそう→2024.5現在、Parts Express も売り切れになっていた)。
エンクロージャには、NFJの1L箱(MODEL-PLS)キットを組み立てて使うことにした。MODEL-PLSは、時々NFJからセール販売されて1000円以下で入手できるので、スピーカー作りの練習目的でストックしてあった。Whisper用のバスレフ箱の容積として1Lは少々大きいと思われるが、スピーカー作りの練習にちょうと良いと考えた。
MODEL-PLSには、別売りで「バスレフポート&ターミナル取り付け穴開口済みの背面パネル」が用意されていて、バスレフポートの直径がVP20の塩ビ管にぴったりで、共鳴周波数が100Hz以上のユニットであれば、まっすぐなダクトでも箱の内部に収められるので、背板として使用した。ターミナルには、NFJ販売の円形(Φ49mm程度)の埋込ターミナルを使い、バナナ端子をAmazonで購入したGeeSoの32mmのバナナ端子(今確認したら、Amazonでは品切れ?)に交換して、187型のファストン端子で接続。バッフルの開口穴は、VP40用のホールソー(Φ48.5mm程度)で開けた。ユニットの穴を開ける前に、ネジ位置もコンパスで罫書いて、錐で下穴を開けた。 自分なりにMODEL-PLSに対してアレンジしたところは、whisperが内側から装着するタイプのユニットなので、作成後もダクト長や吸音材などを調整できるように、背板をボルト留めにした点。MODEL-PLSの板を側板に沿ってトリマーでくり抜き、ネジ留め用に残した箇所に鬼目ナット(M4)を埋込み、ネジ留め用のアダプタを作った。側板と背板の間にアダプタを挟む分、容積はNFJのMODEL-PLS箱よりほんのわずかに増えて約1.2Lに。
バスレフダクトの共鳴周波数は、WinISDのシミュレーションでは、約120Hz(容積を1.17Lとして、ダクトを長さ約4.1cmの塩ビ管VP20(Φ2cm )とした)。箱が大きいので、140〜210Hzの範囲が-2dB以下に凹んでしまい、170Hz辺りで-3dBとなり底を打つ感じ。バスレフであれば、0.5Lくらいの容積にして、共鳴周波数を140Hz程度にすると、そこそこフラットな特性になるはずだが、それは今後の課題ということにする。
ユニットの取付けには、ステンレスのビスを使ったのだが、ドライバーの先端に磁力でつけておくことができないので、長さ8mmの小さなネジをバッフルの下穴に置いて、ドライバーでネジ留めするのにかなり苦労した。バッフルは、9mmだと若干薄くて、11〜12mm厚にすると、ユニットがちょうど収まる。後で、バッフルにシートでも貼るかな。
whisperの見た目はツィーターっぽいが、エージングに時間をかける必要があった。能率が良くないので、最初の10時間くらいはエージングの音量が小さ過ぎたかも知れないのだが、40時間目くらいに聴いてみると、全体のバランスが良くなって来た(70時間目も良くなっているので、100時間程度エージングに充てたほうが良い)。最初は名前の通りwhisperな感じだった高音がしっかり出るようになり、中音も、自然で良い感じになってきた。同価格で、口径の大きなOM-MF4-Mica(CHN40PMica)よりも好みの音がする。低音はさすがにほとんど出ないが、あまり不満を感じなかった。吸音材は水槽のろ過フィルターを一枚だけ側板を囲むように詰め込んだが、このままで良さそう。直後に、MAOP7 Gen2と聴き比べると、中音に独特の音色が乗っていると感じたが、嫌いではない。 このスピーカーは、私が初めて一から設計したバスレフ形式のスピーカーで、記念すべき自作第一号である。
箱に納めてみると、Whisperが案外とエネルギッシュで、音量あげると箱が響くので、箱鳴りを積極的に活かすために響きの良い板をバッフルに使うか、それとも、板厚を増やして堅牢にしようか、などと早くも次の箱のことを考えてしまうが、、、まずはこの箱を塗装してちゃんと完成させたい。
サブウーファーを加えて聴いたら、かなりの満足度!